Column

国語ゼミ通信

中学受験

中学受験の国語、選択肢を二つまで絞って外すのはなぜ?最後に比べるべきポイント

国語の本文と選択肢を照らし合わせながら学習する子どもを描いた水彩画

こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!

「四つのうち二つは消せるのに、最後の二択で間違える」

中学受験の国語の答案を見て、お子さんとこんなやり取りをしたことはないでしょうか。選んだ理由を聞くと、「どちらも合っている気がした」「こっちのほうが詳しく書いてあった」。解説を読めば納得するものの、次の問題でも同じように迷ってしまう。

こうしたときに確かめたいのは、最後に何を比べているかです。二つの選択肢を繰り返し読んでも、全体の印象を比べているだけでは、決め手が見つからないことがあります。

必要なのは、選択肢の違いを具体的な言葉で取り出し、その違いを判断できる場所へ本文を読みに戻ることです。この記事では、自作問題を使って、最後の二択で確認したい点と、解き直しの方法を説明します。

二つに絞れていても、本文を正確に読めているとは限らない

明らかに違う選択肢を消せたことは、振り返る価値があります。ただし、「二つまで絞れたから、読解はできている。あとは勘の問題」とは言い切れません。

たとえば、出来事はつかめていても、その出来事によって人物がどう感じたかを読み違えている場合があります。筆者の話題はわかっていても、「一部の場合に当てはまる話」を「いつでも当てはまる主張」と受け取っている場合もあります。

また、本文の内容は理解していても、設問が求めていることを取り違えているかもしれません。「なぜそうしたのか」を聞かれているのに、その後の結果を説明した選択肢を選ぶ、といったずれです。

二択で迷った問題には、こうした読み方や答え方の違いが表れます。「惜しかった」で終わらせず、二つのどこを区別できなかったのかまで確かめると、次の練習につながります。

最後に比べるのは、選択肢の「違う部分」

まず、設問が求めていることを短く言う

選択肢を比べる前に、何を答える問題なのかを確認します。

「主人公が黙った理由」「この場面での母親の気持ち」「筆者が便利さについて述べていること」など、自分の言葉で短く言える状態にしておきます。誰について、どの場面について、何を答えるのかが曖昧なままだと、本文に合っているだけの選択肢に引かれやすくなります。

「適切なもの」と「適切でないもの」のどちらを選ぶのかも、この段階で確認します。以下では、適切なものを一つ選ぶ問題を扱います。

共通する部分より、違う部分に注目する

二つの選択肢が似て見えるときは、同じことを述べている部分と、異なることを述べている部分を分けます。迷った問題の復習では、違う箇所に短く線を引くと確認しやすくなります。

見る場所は、問題によって異なります。次の表は、違いを探す際の手がかりです。

比べる点 確認したい違い
誰の考え・気持ちか 主人公の考えなのか、別の人物の考えなのか
原因と結果 何がきっかけで、どのような行動や気持ちにつながったのか
気持ちの向き 自分への悔しさなのか、相手への不満なのか
範囲や程度 一部についてなのか、全体についてなのか。可能性なのか、断定なのか
比較や評価 「どちらにもよさがある」なのか、「一方が優れている」なのか

すべての問題で、この表を上から順に点検する必要はありません。二つの選択肢で意味が変わっている箇所を見つけ、その点を本文と照らし合わせます。

たとえば、「言い返せなかった自分が悔しい」と「言い返してきた相手が憎らしい」は、どちらも穏やかではない気持ちです。しかし、気持ちの向く相手が違います。「嫌な気持ちになった」という大づかみな理解だけでは、この違いを判断できません。

自作問題で確認する――本文と同じ言葉があっても、結論まで確かめる

ここでは、二つの選択肢が残った場面を想定して考えてみましょう。本文と選択肢は、説明のために作成したもので、実際の入試問題ではありません。

本文

学校の図書室では、入口の台に置かれた人気の本によく手が伸びる一方、棚の奥の本は、あまり手に取られていなかった。そこで図書委員会は、人気の本の隣に、同じテーマを別の角度から扱った本も並べることにした。人気の本を片づけたわけではない。読んでみたいと思った本をきっかけに、それまで目に留まらなかった本にも関心を広げてほしいと考えたのである。

問い

図書委員会が、人気の本の隣に、同じテーマを別の角度から扱った本も並べることにしたのはなぜですか。最も適切なものを選びなさい。

ア 人気の本をきっかけに、同じテーマを扱うほかの本にも興味を持ってもらいたいと考えたから。

イ 人気の本をきっかけに、同じテーマを扱うほかの本のほうが価値が高いと気づいてもらいたいと考えたから。

アとイは、何が違うのか

正解はアです。ただ、ここで「アは本文に書いてあるから」とだけ確認して終わると、イを選んだときの読み方が残ってしまいます。

二つを比べると、「人気の本をきっかけに」「同じテーマを扱うほかの本」という部分は共通しています。どちらにも本文に合う言葉が入っています。違いは、その先の目的です。

選択肢 異なる部分 本文との照合
ア ほかの本にも興味を持ってもらう 「目に留まらなかった本にも関心を広げてほしい」に対応する
イ ほかの本のほうが価値が高いと気づいてもらう 本どうしの価値に優劣をつける説明は、本文にない
本文の「関心を広げてほしい」に、アの「ほかの本にも興味を持ってもらいたい」は対応する。イの「ほかの本のほうが価値が高い」は本文からは言えない。
記事内の自作問題から、二つの選択肢の違いを抜粋。選択肢の結論まで、本文の意味と照合します。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。

本文で図書委員会が目指しているのは、読む人の関心が広がることです。人気の本を否定したり、ほかの本のほうが優れていると教えたりすることではありません。

イには、本文に出てくる言葉が多く含まれています。それでも、最後の「価値が高い」という評価を本文から導くことはできません。「別の角度から扱っている」という違いを、「価値が上である」という優劣に置き換えているからです。

イを選ばない理由は、「実際には人気の本のほうが価値が高いから」ではありません。どちらの本の価値が高いかは、この本文からは判断できないのです。本文が述べていない反対の結論まで作らないことも大切です。

正解の言葉が、本文と完全に一致する必要はない

アの「興味を持ってもらいたい」は、本文の「関心を広げてほしい」と一字一句同じではありません。しかし、この文脈では内容が対応しています。

本文に同じ言葉があるかどうかだけを探すと、イのような選択肢にも丸をつけたくなります。一方で、適切な言い換えを「本文にその言葉がない」という理由で消してしまうこともあります。

照合するのは、単語の一致ではなく、文が表している意味です。主語や述語、その間の理由・目的までつないで確かめます。

物語文の心情も同じです。「寂しい」と書かれていなくても、前後の出来事や人物の言動から、その気持ちを読み取れる場合があります。本文に直接書かれた内容だけでなく、文脈から根拠を示して読み取れる内容も判断の対象になります。

「必ず」「すべて」があるだけで消してはいけない

選択問題の対策として、「強い表現が入っていたら消す」という考え方を見聞きすることがあります。

確かに、本文が「そうなることもある」と述べているのに、選択肢が「必ずそうなる」と言い切っていれば、意味は変わっています。ただし、誤りなのは言葉が強いからではありません。本文が述べる範囲を超えているからです。

たとえば、本文に「委員の五人とも、この案に賛成した」とあれば、「委員の五人全員が賛成した」という説明は適切です。「全員」という言葉があることを理由に、消すことはできません。

反対に、「〜かもしれない」「〜という面もある」と控えめに書いてあっても、本文に根拠がなければ選ぶ理由にはなりません。

範囲や程度を表す言葉は、確認すべき目印にはなります。しかし、目印だけで正誤を決めず、本文ではどこまで述べているのかに戻って判断します。

解き直しでは、正解の理由と「選ばない理由」を一組にする

二択で外した問題を復習するときは、正解の説明を読んで理解するだけでなく、自分が選んだ選択肢のどこに問題があったかを短く言葉にします。

先ほどの問題なら、次の二文で整理できます。

アを選ぶ理由:「関心を広げてほしい」とあるので、ほかの本にも興味を持ってもらうという説明が合う。

イを選ばない理由:ほかの本のほうが価値が高いとは述べていない。「別の角度」を、価値の優劣に置き換えている。

さらに、「なぜイを選んでしまったのか」を振り返ります。「前半の言葉が本文と同じだったので、後半まで確かめなかった」のであれば、次の問題では、結論に当たる部分まで本文と照合することが練習になります。

「次はよく読む」だけでは、何を変えるのかが曖昧です。「誰に向けた気持ちかを確かめる」「理由と結果を分ける」など、今回の間違いに対応する行動を一つ決めます。解説を長く書き写す必要はありません。

選ばない理由には、異なる種類がある

選択肢を退ける理由は、すべて同じではありません。

  • 本文と矛盾している。 本文では賛成している人物を、反対していると説明している。
  • 本文からは、そこまで言えない。 一部の例を全体に広げたり、根拠のない評価を加えたりしている。
  • 本文の内容には合うが、問いへの答えになっていない。 理由を聞かれているのに、その後の結果だけを説明している。
選ばない理由の三つの例。本文と矛盾:賛成を反対と説明。本文からはそこまで言えない:一部をすべてに広げる。問いに答えていない:理由を聞かれているのに結果だけを説明。
選択肢のずれを確認するための三つの例です。手順や、すべての誤答を網羅する分類を示したものではありません。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。

この違いがわかると、「本文に書いていないから違う」という一言で済ませず、どこがどうずれたかを確認できます。

「最も適切なもの」を選ぶ問題で、どちらにも本文と合う部分がある場合には、設問が求める中心を捉えているか、必要な説明が含まれているかまで比べます。単に長い、詳しいという理由では決められません。

また、残した二つのどちらにも十分な根拠が見つからないなら、最初に消した選択肢を見直す必要があります。「二つに絞った」という自分の判断を、固定しないようにします。

ご家庭では、一問の迷いを残すだけでもよい

保護者の方が、すべての選択肢を分析して教え直す必要はありません。お子さんが解き直す際に、「最後の二つは、どこが違っていた?」と一問だけ聞いてみる方法もあります。

うまく説明できなければ、すぐに答えを言わせようとせず、迷った箇所を残しておきます。「この表現が本文から言えるか判断できなかった」とわかれば、塾で質問する内容が具体的になります。

正解を聞いた後に説明できたことと、初めて読む問題で判断できることは分けて考えます。次の問題でも同じ点を確かめられたかまで見ることで、復習が実際の解き方につながっているかを確認できます。

根拠の場所がわかっても迷うときは、判断の過程を確認する

本文のどこを見ればよいかはわかるのに、二つの選択肢を区別できないこともあります。その場合は、根拠を探す練習を増やすだけでは、つまずきが解消しないかもしれません。

語句の意味を取り違えているのか。理由と結果のつながりが曖昧なのか。人物の気持ちを、本文の状況より自分の経験に引きつけて考えているのか。確かめたいのは、根拠を見つけた後、その言葉をどう受け取っているかです。

国語ゼミでは、講師と生徒が根拠を言葉にして確かめる、リーズニングを重視しています。「どれを選んだか」に加えて、「なぜその答えになるのか」を説明する過程を通じて、読解の筋道を確認します。指導の考え方は、国語ゼミの指導メソッドでもご紹介しています。

二択での間違いが続くときは、迷った二つと、そう考えた理由を残しておいてください。「本文はここまで述べている」「この選択肢は、この部分でずれている」と区別することが、最後の判断を具体的にする練習になります。

学習の進め方については、無料体験授業・学習相談でご相談いただけます。

選択肢を比べているうちに時間が足りなくなる場合は、「読む」「探す・選ぶ」「書く」の三つの時間から対策を考える記事もあわせてご覧ください。

国語ゼミ通信の一覧へ▶
資料請求 LINE 無料体験授業