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中学受験の物語文、「笑ったからうれしい」で間違える。気持ちを場面から読み取る方法

物語文の前後を指で確かめながら、自分の読み方を保護者に説明する小学生の水彩画

こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!

物語のあらすじは説明できるのに、登場人物の気持ちを答える問題で間違える。「笑っているから、うれしいんだと思った」と聞いて、どう説明し直せばよいか迷うことはないでしょうか。

笑うという行動だけでは、その人物の気持ちは決まりません。願いがかなって笑う場面もあれば、悔しさを見せたくなくて笑う場面もあります。照れた笑いなのか、相手を安心させるための笑顔なのかも、前後の描写を確かめる必要があります。

心情問題を間違えたとき、すぐに経験不足や共感力の問題だと考える必要はありません。まず確かめたいのは、人物が何を望み、何が起き、その後にどうふるまったかをつないで読めているかです。

この記事では、小学4〜5年生の保護者の方に向けて、同じ「笑う」を使った自作の場面を比較し、ご家庭で一問から試せる復習方法を紹介します。

行動を一つ見つけたら、その前後も読む

気持ちを考えるとき、表情や動作は大切な手がかりです。ただし、「笑う=喜び」「泣く=悲しみ」と一対一で結びつけると、場面に合わない答えになることがあります。

たとえば、長く心配していたことが解決して泣く人物と、大切な人との別れで泣く人物とでは、同じ涙でも意味が違います。動作に気づいた後で、その動作につながる事情を読む必要があるのです。

会話も、言葉だけで判断できるとは限りません。人物が「平気だよ」と言ったとしても、その前後の描写によっては、平気に見せようとしていると読める場合があります。反対に、いつでも言葉の裏を探せばよいわけでもありません。本人の言葉とほかの描写が一致しているなら、その一致も判断の材料になります。

復習では、「本文に『笑った』とあった」と言えたところで終わらず、「その前に、何があった?」と確かめてみます。読む範囲は傍線の直前だけに固定せず、人物の望みが説明された前の場面や、その後の行動にも広げます。

気持ちを考えるために、三つの点を確かめる

何を望み、何を大切にしていたか

同じ出来事でも、その人物が何を望んでいたかによって、受け止め方は変わります。

代表になりたかった人物が選ばれたのか。それとも、人前に出ることを避けたかった人物が選ばれたのか。「代表に選ばれた」という出来事だけでは、どちらの気持ちか決められません。

本文にある願い、目標、心配、大切にしているものを探します。「何をしたかったのか」が直接書かれていなくても、繰り返している行動や会話が手がかりになることがあります。ただし、書かれていない過去や家庭の事情を作って説明しないようにします。

何が起き、人物にとって何が変わったか

次に、気持ちを聞かれている場面までに何が起きたかを確かめます。願いがかなったのか、かなわなかったのか。誤解が解けたのか、新しい事実を知ったのか。出来事を、人物の望みやそれまでの考えと結びつけます。

ここで気をつけたいのは、設問が指す時点です。発表を待っているときの緊張と、結果を知った後の気持ちは同じとは限りません。「誰の、いつの気持ちか」を先に押さえると、別の場面の感情を答えに持ち込まずに済みます。

誰に、どのようにふるまったか

同じ人物でも、一人でいるときと、友人や家族の前にいるときとでは、表情や言葉が違うことがあります。誰に向けた言葉なのか、相手とどのような関係なのか、その後に行動が変わるのかを確かめます。

笑顔の直後に目を伏せた、友人が去ってから肩を落とした、といった描写があれば、前の言動とあわせて考えます。一つの動作を別の感情語に機械的に置き換えるのではなく、複数の手がかりが、どの読み方を支えるかを見るのです。

整理すると、確認したいのは次の三つです。

  • 人物の望み:何をしたいか。何を大切にしているか。
  • 起きた出来事:何が起きたか。望みとの関係はどうか。
  • 相手と前後の言動:誰に向けた言葉か。その後、どうふるまったか。

三つは読むための観点であり、すべての問題で三項目のメモを完成させる決まりではありません。本文に手がかりがない部分は、わからないままにしておきます。

物語文の心情を考える観点として、人物の望み、起きた出来事、相手と前後の言動を示す図
三つは読み取りの観点です。固定の手順や、必ず埋める答案の項目ではありません。
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同じ「笑った」を、二つの場面で比べてみる

次の二つは、説明のために作成した独立した架空の場面です。同じ出来事の前半と後半ではなく、場面Aと場面Bを別々に読んでください。実際の入試問題からの引用ではありません。

問い:結衣は、どのような気持ちで笑いましたか。それぞれの場面について、そう考えた根拠も挙げて説明してみましょう。

場面A:代表に選ばれた

結衣は、朗読会の代表になりたくて、毎日、声に出して練習していた。発表の日、先生が呼んだのは結衣の名前だった。結衣は息をふっと吐き、肩の力を抜いた。隣の友人が「やったね」と言うと、結衣は原稿を胸に抱えて笑った。

結衣の望みは、朗読会の代表になることです。名前を呼ばれたことで、その望みがかなっています。「息をふっと吐き、肩の力を抜いた」という描写もあわせると、喜びに加えて、緊張が解けた安心を読み取る手がかりがあります。

たとえば、**「練習を重ねてきた願いがかない、うれしく、ほっとしている」**という説明が考えられます。「笑った」という一語だけでなく、願い・結果・体の動きをつないだ読み方です。

場面B:代表に選ばれなかった

結衣は、朗読会の代表になりたくて、毎日、声に出して練習していた。発表の日、先生が呼んだのは別の子の名前だった。隣の友人が「大丈夫?」と心配そうに顔をのぞき込んだ。結衣は「平気だよ」と言って笑い、机の下で、練習用の原稿をぎゅっと握った。

こちらでも結衣は笑っています。しかし、願いはかなっていません。「平気だよ」という言葉だけを見ると、気にしていないようにも見えますが、毎日練習していたことや、机の下で原稿を強く握る動作とは、その説明だけではつながりにくくなります。

これらをあわせると、**「代表に選ばれず悔しいが、友人の前では平気に見せようとしている」**という読み取りが考えられます。残念さを表に出さないようにしている、と説明する言い方もあります。

ここで、「選ばれた子を嫌いになった」「先生の決め方に腹を立てている」とまでは、この短い本文から判断できません。気持ちを考えるときも、どこまでなら根拠を示せるかに注意します。

違いは、笑う前に起きたことと、笑顔以外の言動にある

比べる点 場面A 場面B
望み 朗読会の代表になりたかった 朗読会の代表になりたかった
出来事 代表に選ばれた 代表に選ばれなかった
笑顔以外の手がかり 肩の力を抜く。友人の「やったね」 「平気だよ」と言う。机の下で原稿を握る
読み取れる気持ちの例 願いがかなった喜び・安心 悔しさを、友人の前で隠そうとする

どちらも、望みや動作の言葉を見つけただけでは説明が完成しません。「願いがかなったから、ほっとした」「かなわなかったが、相手には平気に見せようとした」という関係までつなぐと、二つの笑顔の違いを説明できます。

この読み取り例は、特定の学校の採点基準や唯一の答案表現を示したものではありません。実際の問題では、設問が気持ちだけを聞いているのか、理由も求めているのか、字数などの条件があるかを確認します。

代表に選ばれて喜ぶ場面Aと、選ばれず悔しさを隠そうとする場面Bを比べ、同じ笑顔でも前後の事情で気持ちが異なることを示す図
説明用の自作場面による比較です。二つの場面は独立しており、気持ちの表現は読み取り例です。
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「自分なら」と、本文の人物の気持ちを分ける

お子さんが場面Bを読んで、「自分なら、代表にならずに済んでうれしい」と言うこともあるでしょう。その感じ方自体を否定する必要はありません。ただ、結衣は本文の中で、代表になりたいと望んでいます。自分の希望と、結衣の希望を区別して読む必要があります。

ご家庭では、「あなたならそう思うんだね。この子は、何をしたかったと書いてある?」と戻してみます。人物に共感できるかどうかを試すのではなく、本文にある事情を根拠に考える練習です。

また、場面は理解できていても、気持ちを表す言葉の意味が曖昧な場合があります。たとえば「うまくできると思っていたのに、できなくて嫌だった」と説明できるなら、何も読み取れていないとは限りません。その説明と「悔しい」という言葉を結びつけて確かめられます。

語句の意味がわからないときは辞書や解説を確認します。ただし、感情語の一覧を覚えただけで、どの場面にも当てはめられるわけではありません。覚えた言葉を使う際も、なぜこの場面に合うのかを本文に戻って確かめます。

家庭での復習は、一問の「行動ときっかけ」から

最初の答えを残して、読み足した根拠を確かめる

間違えた心情問題を一問選び、最初に書いた答えや選んだ選択肢を消さずに残します。そのうえで、お子さんが何を根拠にしたかを聞きます。

「笑ったから」と答えたなら、その言葉は確かに本文にあると確認し、次に望みや直前の出来事へ目を向けます。場面Bなら、「代表になりたかった」「別の子が選ばれた」「原稿をぎゅっと握った」というつながりが、読み直す材料になります。

ノートには、長いあらすじを書き写さなくても構いません。たとえば次のような短い記録で、最初の読み方との違いを残せます。

最初の答え:笑ったので、うれしい。
読み足した根拠:代表になりたかったが選ばれず、原稿をぎゅっと握っている。
考え直したこと:悔しいが、友人には平気に見せようとしている。

言葉で説明するのが難しければ、まず「代表になりたかったのはどこに書いてある?」と、根拠の一か所を指で示すだけでもよいでしょう。答えに含める要素や細かな採点が判断しにくいときは、解説や先生の指導を使います。保護者の方が、その場ですべてを採点し直す必要はありません。

別の問題で、同じ確かめ方を試す

解き直した直後は、答えを覚えて説明できることもあります。次に初めて読む物語文で、「誰の、いつの気持ちか」「何がきっかけか」を確かめられるかも見ておきます。

同じ「笑う」が出てくる問題を探し続ける必要はありません。黙る、顔を背ける、急に話し始めるといった別の言動でも、その前後の事情とつなぐ練習はできます。

一度の誤答だけで、原因を一つに決めることはできません。言葉の意味で止まったのか、出来事を読み落としたのか、別の人物の気持ちを答えたのか。時間が足りず読み返せなかった可能性もあります。説明できない箇所は無理に埋めず、「ここがわからなかった」と残しておくと、次に質問する内容が具体的になります。

選択肢の比較で迷いが残る場合は、最後の二択で本文と照合するポイントを解説した記事も参考にしてください。

心情の根拠が判断しにくいときは、最初の答案を相談材料にする

根拠の場所は見つけられるのに気持ちにつながらない、解説と違う表現を使ったときに意味が合っているかわからない。こうした迷いは、正誤だけでは見えにくい部分です。

相談する際には、問題と本文、最初の答案、解説や添削、書き直した答案を用意すると、どこを読んでどう考えたかを確かめやすくなります。すべて揃っていなくても、迷った一問と、そのときの説明が出発点になります。

東京・代々木の国語専門塾である国語ゼミでは、講師との対話を通じて、答えに至る根拠を言葉にすることを重視しています。指導の考え方は指導メソッドでご紹介しています。学習の進め方に迷う場合は、受講のご相談をご利用ください。

まずは、手元の物語文の一問で、「その行動の前に、何があった?」と確かめてみてください。表情の一語に加えて、人物が望んでいたことと出来事を読めると、気持ちを説明するための手がかりが増えていきます。

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