こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!

高校入試の国語で、記述の空欄は減ってきた。本文から大切そうな言葉を選び、文末も「から」にした。それなのに、返ってきた答案には「説明不足」と書かれている。模範解答と似た言葉が入っているのに、何が足りないのでしょうか。

確かめたいのは、選んだ言葉の間にある関係まで、答案で説明できているかです。本文に出てくる語句を並べても、「何が、どうしてそうなるのか」が抜けていれば、読み手が意味を補うことになります。

この記事では、中学2〜3年生に向けて、理由を説明する記述問題の組み立て方を紹介します。一つの架空の例題を使い、語句を並べた答案から、理由のつながりを補い、指定字数に収めるまでを見ていきましょう。

最初に「何の理由」を聞かれているか確かめる

行動・判断・変化のどれを説明するのか

「なぜか」と聞かれたら、理由を探す前に、何についての理由なのかを確かめます。傍線部の言葉を使い、「〇〇する理由」「〇〇と判断した理由」と短く言い直してみてください。

たとえば、「資料館に古い道具を展示する理由」と、「展示した道具に当時の暮らしの説明を添える理由」は異なります。後者を聞かれているのに、「古い道具を保存することが大切だから」と書いても、説明を添える必要性には答えていません。

人物の行動、筆者の判断、気持ちの変化など、問いの対象を取り違えると、本文にある内容でも答えから外れてしまいます。傍線部だけでは対象が分からない場合は、前後の文を読み、「誰が」「何を」「どうした」のかを補って確かめましょう。

抜き出しと説明の指示を分ける

次に、設問が「抜き出しなさい」なのか、「説明しなさい」なのかを確認します。抜き出しなら、指定された範囲や字数、書き出し・書き終わりなどの条件に従います。

説明問題では、本文の言葉を使いながら、複数の箇所の内容をまとめたり、指示語の内容を補ったりする必要が生じます。もちろん、適切な一文で答えられる場合もあります。いつも言い換える、いつも長くつなぐ、という決まりではありません。

字数、指定語句、「二つの点から」などの条件にも印を付けておきます。文末を「から」にすると理由の形にはなりますが、それだけで理由の中身がそろうわけではありません。

本文から拾うのは、単語だけでなく関係

自作例題で、判断を支える説明を探す

次の本文・設問・答案は、書き直し方を説明するために作成した架空の練習問題です。実際の入試問題や、特定の学校の採点基準ではありません。

本文

資料館には、今ではほとんど使われない道具が並んでいる。形を眺め、名前や作られた年代を知るだけでは、何のために使われ、なぜその形になったのかまでは分からない。たとえば、同じ水を運ぶ道具でも、使う場所や運ぶ距離によって形は異なる。使われていた暮らしの場面を知れば、道具の使い道と、形に込められた工夫を理解できる。だから、資料館で道具を紹介するときには、当時の暮らしの説明も添える必要がある。

設問

「当時の暮らしの説明も添える必要がある」とあるが、それはなぜか。本文の内容に即して、60字以内で説明しなさい。

聞かれているのは、道具の紹介に、暮らしの説明も添える理由です。本文には「名前」「年代」「暮らし」「工夫」といった言葉が出てきます。ただ、それらを集めるだけでは、答えを組み立てる材料として十分とはいえません。

語句に加えて、「何が分からないのか」「何を知ると、何が分かるのか」まで取り出してみます。

本文での役割 読み取る内容
名前や年代だけでは、何が不足するか 道具の使い道や、形の理由が分からない
当時の暮らしを知ると、何が分かるか 道具の使い道や、形に込められた工夫を理解できる
そこから筆者が示す判断 当時の暮らしの説明も添える必要がある

「分からないことがある」という説明と、「暮らしを知ると理解できる」という説明が、最後の判断を支えています。復習では、このつながりを短いメモにしてから、答案へまとめるとよいでしょう。

ここでの「知ると理解できる」は本文が述べる関係です。近くに二つの言葉があるからといって、自分の想像で「だから」と結んではいけません。また、この表の三つの枠は、すべての記述に必要な三要素や、三段落の指定ではありません。問いによって取り出す関係は変わります。

名前や年代だけでは分からないことと、暮らしを知ると理解できることが、説明を添えるという筆者の判断を支える図。
架空の本文の整理例。二つの説明が筆者の判断を支える関係であり、時間の順序や答案の段落数ではありません。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。

指示語や省略された対象を、必要な分だけ補う

関係を文章にするときは、主語や対象が曖昧になっていないかも確かめます。たとえば「それが分かるから」とだけ書くと、使い道なのか、形の工夫なのか、何を理解する話なのかが伝わりにくくなります。

この例なら、「道具の使い道や形の工夫を理解できる」とすれば、理解する対象が明確になります。本文の「何のために使われ」を「使い道」とまとめることもできます。

ただし、補う内容は本文に根拠があるものに限ります。「昔の人の苦労に感動してもらえるから」「来館者を増やせるから」といった説明は、この本文からは確認できません。説明を詳しくするつもりで、別の目的を付け足さないようにしましょう。

答案を三段階で組み立て直す

第一段階:語句はあるが、関係が見えない

まず、次の答案を見てください。

道具の名前や年代、当時の暮らし、形に込められた工夫があるから。

句読点を含めて31字です。60字以内という条件には収まり、本文の言葉も使っています。しかし、「暮らしや工夫がある」だけでは、それらを説明する必要性が伝わりません。

足りないのは、難しい言葉や新しい知識ではありません。名前や年代だけでは何が分からず、暮らしを知ると何を理解できるのかという、本文に示された関係です。

第二段階:関係を省かず、下書きにする

いきなり短くまとめにくいときは、復習用のメモとして、必要な関係を一度文章にしてみます。

道具の形を眺めて名前や作られた年代を知るだけでは、何のために使われ、なぜその形になったのかが分からないが、使われていた当時の暮らしの場面を知ることで、使い道と形に込められた工夫を理解できるから。

これは97字あり、60字以内の条件に合わない、整理用の下書きです。そのまま解答欄へ書く答案ではありません。

それでも、最初の答案にはなかった「名前や年代だけでは分からない」「暮らしを知ることで理解できる」という関係が見えるようになりました。ここから、説明する内容を保ちながら短くします。

この長い下書きは、つながりを考えるのが難しいときの復習方法です。試験本番で毎問この長さの下書きを作る必要はありません。慣れてきたら、「名前・年代だけ→使い道や形の理由は不明/暮らしを知る→使い道や工夫が分かる」のような短いメモでも整理できます。

第三段階:必要な関係を残して60字以内にする

下書きのうち、同じ内容を短くまとめられる部分を探します。

下書きの表現 この文脈でまとめた表現
名前や作られた年代 名前や年代
何のために使われ、なぜその形になったのか 使い道や形の理由
使われていた当時の暮らしの場面 当時の暮らし
形に込められた工夫 形の工夫

「道具の形を眺めて」は、この答案では、何が分からず、何を知れば理解できるかを説明する部分を優先して省きます。一方、「だけでは」「分からず」「知ることで」といった関係を示す部分まで消すと、最初の語句の列挙へ戻ってしまいます。

改善例

名前や年代だけでは使い道や形の理由が分からず、当時の暮らしを知ることで、使い道や形の工夫を理解できるから。

句読点を含めて53字です。本文で述べられた不足と、説明を添える意義をつなぎ、60字以内に収めています。「使い道」が二度出てきますが、前半は分からない内容、後半は理解できる内容を示しています。同じ語があるというだけで機械的に削る必要はありません。

改善したのは、31字から53字へ長くなったことではありません。読む人が補わなければならなかった関係を、答案の中に書いたことです。97字の下書きからは、その関係を保って表現を整理しました。

これは本記事の自作問題に対する改善例の一つです。すべての理由説明に「不足する点」と「理解できる点」の両方が必須という意味ではありません。実際の問題では、設問と本文に応じて必要な説明を判断します。特定校での点数や部分点も、この例から決めることはできません。

31字の語句を並べた答案と、53字で不足と理解できる内容をつないだ改善例を比較する図。
本文・設問・答案は架空です。字数の多さではなく、説明のつながりを比べます。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。

家庭では一問だけ、「何が・なぜ」を読んでみる

手元の問題集や模試から、理由説明の小問を一つ選びます。最初の答案を消さずに残し、設問、本文、解説を見比べながら、次のような短いメモを作ってみてください。

メモすること 今回の自作例なら
何の理由を説明するか 道具に当時の暮らしの説明も添える理由
根拠はどこにあるか 「名前や作られた年代を知るだけでは」の文と、「使われていた暮らしの場面を知れば」の文
答案で補う関係は何か 名前や年代だけでは分からないことが、暮らしを知ると理解できるという関係

メモができたら、一度だけ書き直します。その答案を読み、「何が分からないのか」「何を知ることで、何を理解できるのか」が自分の書いた文から伝わるかを確かめましょう。「これ」「それ」の内容を、頭の中だけで補っていないかにも気を付けます。

音読すると文のつながりに気づくことがありますが、滑らかに読めるだけで内容が正しいとは限りません。最後に、答案に書いたことが本文のどこに対応するか、設問の字数や指定語句を守ったかを確認します。

家の人に聞いてもらうなら、「正解か採点して」より、「この『それ』が何を指すか分かる?」のように、確認する箇所を一つに絞ると話しやすくなります。専門的な採点まで頼む必要はありません。一人で取り組む場合も、迷った部分に印を付け、学校や塾の先生への質問として残せます。

負担が大きい日は、答案全体を書き直さず、「足りなかった関係」を一文だけメモしても構いません。確認できないことを、無理に正解・不正解へ分ける必要もありません。

次は、別の問題で同じ確認をする

同じ問題を書き直せたら、次の機会には、まだ答えを見ていない別の理由説明問題で試します。今回の53字の表現を覚えることと、新しい本文から根拠を選び、理由を組み立てられることは別です。

次の問題でも、まず「何の理由か」を短く言い、根拠となる箇所を示してから書いてみます。どこで迷ったかも残せれば、次に練習する内容を選びやすくなります。

なお、時間が足りず途中までしか書けなかった答案は、考えても組み立てられなかった答案と分けて振り返ります。まだ解答を見ていない問題なら、時間を延ばして再挑戦することが手がかりになります。解答を見た後なら、別の未見問題で、時間と書けた内容を確かめてください。

根拠選びと文章化、どこでつまずくかを相談する

記述が伝わらない理由は、一つとは限りません。本文から必要な内容を選べていない場合もあれば、関係は理解していても、短く書く途中で大切な説明を削っている場合もあります。

たとえば、根拠の場所は示せても、そこからなぜ筆者の判断につながるかを説明できないなら、本文の関係を読む練習が必要かもしれません。一方、口頭では理由を説明できるのに、答案にすると主語や対象が抜けるなら、文章化の仕方を確かめたいところです。ただし、先生から多くのヒントをもらって説明できた場合と、自力で説明できた場合は分けて考えます。

相談するときは、問題と設問、本文への書き込み、最初の答案、解答例・解説、添削後の書き直しを一緒に用意します。そのうえで、「ここを根拠にした」「この説明を字数のために削った」と伝えると、どこでつながりが失われたかを確かめやすくなります。

東京・代々木の国語専門塾、国語ゼミでは、本文の根拠を言葉で確かめ、記述答案の添削と書き直しに取り組んでいます。高校受験部では、必要な要素を選び、指定字数内で因果関係の通る文章に組み立てる練習を扱っています。

まずは手元の一問で、本文から拾った言葉に「何が、どうしてそうなるのか」という関係があるかを見てみてください。語句をさらに足す前に、言葉と言葉の間に抜けている説明を一つ探す。それが、次の書き直しの出発点になります。

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