こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!

国公立大の過去問で現代文の記述を書き、解答例を開く。使っている言葉も、説明する順番も違っていて、自分の答案を丸にしてよいのかわからない。そのまま模範解答を写して、復習を終えていないでしょうか。

模範解答と表現が違うというだけでは、正誤は決められません。 確かめたいのは、設問が求める内容を、本文の根拠に沿って説明できているかです。

一方で、内容が似ていると思っても、説明が足りなかったり、本文にない因果関係を加えていたりすることがあります。この記事では、自分で点検する方法と、判断に迷ったときに添削で確かめたいことを、自作の短い例で説明します。

まず、見比べている「模範解答」が何かを確認する

解答例・解説・採点基準を区別する

手元の模範解答は、大学が公表したものですか。それとも、問題集や予備校が作成したものですか。まず、作成元と、資料が何を示しているかを確認しましょう。

資料 復習で確かめたいこと
解答例 設問に対し、どのような内容と表現で答えているか
解説・出題意図 どこを根拠に考えるか、何を理解・説明する問いなのか
採点・評価基準 公開されている範囲で、何を評価対象としているか

例えば、京都大学は2026年度の一般選抜の公表ページで、示す解答例に解答を限定するものではないと説明しています。岐阜大学も、掲載する解答例以外に異なる表現や記述の仕方があり得ると案内しています。京都大学の公表ページ/岐阜大学の公表ページ

ただし、この案内だけで、自分が書いた別表現が許容されるかは決まりません。問題ごとの設問と本文に戻る必要があります。志望校については、その大学が公表している資料の種類と範囲を確認してください。

得点が不明でも、書き直す箇所は探せる

具体的な採点基準を確認できない問題について、「この語がないから何点減点」「この内容があれば必ず部分点」と決めることはできません。解答例だけから、本番の得点までは確認できません。

それでも、「理由を問われたのに結論だけを書いた」「本文の条件を落とした」といった点は、設問と答案を照らして点検できます。

復習では、確定できない得点を無理に出すよりも、説明できている内容と、まだ説明が足りない内容を具体的に残すことから始めましょう。

言い方の違いと、内容の違いを自作例で比べる

以下の本文・設問・答案は、読み方と見直し方を説明するために作成した架空の練習例です。実際の入試問題、大学の解答例、採点基準ではありません。

本文

対話で意見が一致しなかったとき、それを無駄だったと考える人がいる。しかし、対話には、結論をそろえる以外の働きもある。相手の異なる見方に触れると、自分が当然だと思っていた前提に気づき、その根拠を問い直せる。意見の隔たりが残っていても、対話を通じて自分の考えを検討し直すことはできるのである。

設問

意見の隔たりが残っても対話に意味があるのはなぜか。本文の説明を踏まえ、60字以内で述べなさい。

表現が違っても、説明する内容が対応している場合

まず、二つの答案を見比べます。

答案A

相手の異なる見方に触れることで、自分の前提に気づき、その根拠を問い直せるから。

答案B

他者との意見の違いを通して、自分が当然視していたこととその理由を見直せるから。

二つとも、句読点を含めて60字以内です。AとBでは、「相手の異なる見方」と「他者との意見の違い」、「前提」と「当然視していたこと」など、表現が異なります。

ここで確かめたいのは、単語の一致ではなく、説明する内容の対応です。この例では、異なる見方に触れることで、自分の前提とその根拠を検討し直せる、という対話の働きを両方の答案が述べています。

Bの「当然視していたこととその理由を見直す」には、前提に目を向け、その根拠を検討するという内容がまとめられています。本記事の練習例では、A・Bとも設問への応答が成り立つ答案として扱います。ただし、ここから特定大学での得点を推定することはできません。

言い換えが成立するかは、文脈によって変わります。「この言葉とこの言葉は、いつでも交換できる」と覚えないようにしてください。

自作例の答案Aと答案Bを比べ、異なる表現でも自分の前提と根拠を見直せるという内容が対応していることを示した図
本文・設問・答案は架空の練習例です。表現の違いを、説明する内容と照らして確認します。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。

同じ言葉を使っていても、つながりが変わっている場合

次の答案には、本文と共通する言葉が多く使われています。

答案C

相手の見方に触れることで、互いの意見が一致し、考えの根拠を問い直せるから。

しかし、設問は「意見の隔たりが残っても」対話に意味がある理由を聞いています。Cは、意見が一致することを説明の途中に加えてしまっています。

本文が述べる「一致しなくても自分の考えを検討し直せる」という働きが、Cでは「一致して、根拠を問い直せる」というつながりに変わっています。キーワードが入っていても、この違いは見直す必要があります。

間違ったことは書いていなくても、説明が途中で終わる場合

もう一つ、次の答案も確かめましょう。

答案D

相手の見方に触れ、自分が当然視していた前提に気づけるから。

Dは、本文にある「前提への気づき」を説明しています。ただし、そこから「その根拠を問い直せる」という点までは書いていません。対話の働きを十分に説明するには、その先も含めて見直したい答案です。

例えば、Aのように「前提に気づき、その根拠を問い直せる」と書き直せます。加えたのは、本文が述べる働きの続きです。単に字数を増やしたからよくなったわけではありません。

実際の入試で、どの説明をどこまで必要とし、欠けた場合にどう扱うかは、当該問題の採点基準によります。Dに何点つくかという数値は、この練習例では設定していません。

自分の答案は、設問・本文・つながりから点検する

設問の条件を守っているか

最初に、何を説明する問いなのかを確認します。「なぜか」なら理由、「どういうことか」なら内容の説明が求められています。理由の設問を、文末だけ「から」にしても、必要な理由が書けていなければ答えにはなりません。

さらに、字数、指定語句、説明する対象や範囲を確認します。抜き出しを求める設問で勝手に言い換えたり、具体例を挙げる指示を落としたりしていないかも見ます。

練習例なら、「意見の隔たりが残っても」という条件が重要です。Cのように意見の一致を説明へ入れると、その条件とのつながりを見直す必要が生じます。

本文のどの根拠を使ったか

自分の答案の各部分について、「本文のどこからそう言えるか」を指し示してみます。

練習例のAなら、「相手の異なる見方」「自分の前提への気づき」「その根拠の問い直し」が本文に対応しています。「全員が納得する」「争いがなくなる」などを加えたら、その根拠が本文にあるかを改めて確認します。

根拠は傍線部の近くにまとまっているとは限りません。設問が文章全体を踏まえるよう求めていれば、別の段落との関係も読む必要があります。近くの一文だけで説明を完結させてよいかは、設問に応じて判断してください。

答案の中で、主語や因果関係がつながっているか

必要そうな言葉を入れた後は、答案を一つの文として読みます。誰が何をするのか、何が理由で何が起こるのか、本文の関係が保たれているかを確かめます。

練習例では、見直されるのは自分の前提やその根拠です。これを「相手の考えを変えられるから」とすれば、働きかける対象が変わります。また、「問い直せる」を「必ず正しい答えに到達する」とすれば、本文より強い主張になります。

指示語にも注意しましょう。「それを見直せるから」と書いて、答案だけでは何を指すか曖昧なら、必要な内容を具体的に補います。ただし、どこまで明示する必要があるか判断できない場合は、その箇所を相談材料として残してください。

添削では「この言い換えで、どこまで伝わるか」を相談する

自分で点検しても迷うのは、言葉の範囲や、省略できる内容がはっきりしないときです。例えば、次のような点は、本文と答案を並べて相談したいところです。

  • 言い換えの範囲:自分の言葉で、本文の限定や程度まで保てているか。
  • 省略してよい内容:字数に収めるために削った説明が、問いに答えるうえで必要ではないか。
  • 複数の解釈の比較:二つの読み方のうち、どちらが文章全体の流れと整合するか。

解答例にある言葉をすべて加える前に、その言葉が何を説明するために使われているかを確かめましょう。練習例では、Dに「対話」や「意味」という語を加えるだけでは、根拠を問い直せるという説明は補えません。

質問は、「これで何点ですか」だけで終えず、迷った箇所を示すと具体的になります。

私の「当然視していたこととその理由を見直す」という表現で、本文の「前提に気づき、その根拠を問い直せる」という内容を説明できていますか。意味が変わっている箇所があれば知りたいです。

これは、本記事の自作例を使った質問例です。実際には、自分が書いた部分と、根拠にした本文の箇所を示してください。

添削では、本文との対応や説明の不足を検討できます。ただし、大学の非公表の採点基準や得点は、添削でも確定できません。 指導者による学習用の評価と、大学が実施する採点を区別して受け止めましょう。

自分で点検する設問の条件・本文の根拠・答案のつながりと、迷ったら添削で相談する言い換え・省略・解釈の観点を並べた図
点検と相談の観点です。判断に迷う箇所は相談へつなげ、大学の非公表の採点基準や得点とは区別します。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。

復習では、最初の答案と書き直しを一組で残す

一問の違いを、短いメモにする

家庭での復習は、迷った小問を一つ選ぶところから始められます。最初の答案を消さずに残し、解答例や解説と比べて、何を確かめたかを書きます。

練習例のDなら、「前提に気づくところまでは書いた。根拠を問い直せるという働きが抜けていた」と短く記録できます。そのうえで、本文に戻って答案を書き直します。

すべての答案を長く分析する必要はありません。負担が大きければ、「足りなかった説明」と「使う根拠」を一つずつ残すだけでも構いません。確認できなかった箇所は、正解・不正解を無理に決めず、質問として保留します。

字数が余っていても、本文にない説明や同じ内容の繰り返しで埋めないようにしましょう。反対に、必要な説明を削って短くした結果、何の理由なのかわからなくなっていないかも確かめます。

初めて解く別の問題で、説明を組み立て直せるか確かめる

解答例を覚えた後の書き直しだけでは、別の本文から必要な内容を選び出せるようになったかはわかりません。次の未見問題でも、設問の条件を押さえ、本文の根拠を選び、つながりのある答案にできるかを試します。

例えば、今回の課題が「理由の説明が途中で止まること」なら、別の理由説明問題で、どこまで説明すると問いに答えられるかを確認します。今回の答案の語句を再現することとは分けて考えます。

時間切れで書けなかった答案は、内容を考えても書けなかった答案と区別して記録してください。まだ解答を見ていなければ、時間を延ばして再挑戦することも手がかりになります。すでに解答を見た場合は、未見問題で時間と記述の状況を確かめます。

相談には、点数よりも「どう考えて書いたか」を持っていく

学校や塾で答案を見てもらうときは、問題文、設問、最初の答案、解答例・解説、書き直した答案を一緒に用意します。大学名だけでなく、年度・日程・学部や問題番号もわかるようにしておきましょう。

そのうえで、「本文のどこを使ったか」「どの表現が不安か」「何を削ったか」を伝えます。読解の段階でずれたのか、理解した内容を文にするときに省略したのかを確かめる材料になります。原因が一つとは限らず、説明を聞いても判断がつかない部分は、追加で確認していく必要があります。

国語ゼミでは、東京・代々木の国語専門塾として、本文の根拠を言葉で確かめ、記述答案の添削と書き直しに取り組んでいます。自分の答案と解答例の間に残った疑問を、次の練習につなげることを大切にしています。

まずは一問、自分の答案を消さずに、解答例と違う部分へ印を付けてみてください。その違いが「言い換え」なのか、「説明の不足」なのか、「本文とのずれ」なのかを、設問と本文に戻って確かめましょう。判断できない箇所が具体的になれば、添削で尋ねたいことも明確になります。