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国語ゼミ通信

小論文

小論文は「書く前」で決まる。独学でつまずかないための五つの手順

執筆:国語ゼミスタッフ

制服姿の生徒が机に向かい、原稿用紙に小論文を書いているイラスト

こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!

「何を書けばいいかわからない」「書いたけれど、これでいいのかわからない」——小論文のご相談で最も多いのが、この二つです。どちらも書く技術の問題ではなく、書く前の手順が原因です。

小論文は「作文」でも「感想文」でもない

まず前提の確認から。小論文でつまずく高校生の多くは、この科目を「自分の思いを自由に書くもの」だと考えています。だから書き出しで手が止まる。思いなど、そう都合よく湧いてこないからです。

小論文は、問いに対して、根拠を示しながら答える文章です。求められているのは思いの強さではなく、論証の妥当性です。「私はこう感じた」ではなく「こう考えられる。なぜなら——」の形で書く。この一点を理解するだけで、書き出しで止まる回数はかなり減ります。

そして論証である以上、評価の基準は明確です。採点者が見ているのは、おおむね次の三つです。

  • 設問の要求に答えているか
  • 主張に根拠がついているか
  • 根拠から主張への筋道が飛躍していないか

裏を返せば、この三つを外さなければ、文章の巧拙は決定的な差になりません。美しい表現より、外さない構造です。

手順1:設問の要求を分解する

答案が的外れになる原因のほとんどは、設問の読み違いです。書き始める前に、設問文を分解してください。

  1. 何について書くのか(対象)
  2. どういう形で答えるのか(賛否/原因/解決策/比較)
  3. 課題文や資料をどう使うのか(要約が必要か、言及だけでよいか)
  4. 字数と時間

特に注意したいのが「あなたの考えを述べよ」という一文です。これは自由に書いてよいという意味ではありません。その直前に書かれた条件が、本当の設問であることがほとんどです。「筆者の主張をふまえて、あなたの考えを述べよ」なら、筆者の主張を正確に押さえていない答案は、その時点で減点対象になります。

手順2:課題文型は、まず要約する

課題文が付いている場合、いきなり自分の意見を書き始めてはいけません。先に、筆者の主張を100〜150字程度でまとめます。答案用紙に書く必要はありません。手元のメモで十分です。

この作業には二つの意味があります。ひとつは、筆者の主張を取り違えたまま論を進める事故を防ぐこと。もうひとつは、自分の意見を「筆者に対してどの位置に立つのか」という形で決められることです。全面的に賛成なのか、条件つきで賛成なのか、前提そのものを疑うのか。位置が決まれば、書くべきことは自然に絞られます。

国語ゼミが現代文の授業で要約訓練を重視しているのは、これが小論文に直結するからです。正しく読めない人が、正しく論じられることはありません。

課題文型小論文の手順を示した図。設問の分解、課題文の要約、立場の決定、構成の作成、執筆、リライトの順に進む
課題文型の小論文は、書き始めるまでに四つの工程があります。ここを飛ばすと、書きながら迷うことになります。

手順3:構成の「型」を先に決める

書きながら考えるのは、最も失敗しやすいやり方です。時間内に破綻しない答案を書くには、型を持っておくこと。汎用的なのは次の四段構成です。

  1. 問題の確認:設問が何を問うているかを自分の言葉で示す(1〜2文)
  2. 自分の立場:結論を先に出す(1〜2文)
  3. 根拠:立場を支える理由を、具体例や資料とともに示す(本論・最も長い)
  4. 反論への応答と結論:想定される反対意見に触れ、それでもなお自分の立場が妥当である理由を述べて締める

字数が600字なら、おおむね1割・1割・6割・2割が目安です。反論への応答を入れられるかどうかが、平凡な答案と評価される答案の分かれ目になります。自分の立場の弱点を自分で指摘し、それでもなお成り立つ理由を示せる答案は、思考の射程が広いと判断されます。

手順4:書いたら必ずリライトする

ここが独学で最も抜けやすい工程です。多くの高校生は、書いて、添削されて、そこで終わりにします。それでは伸びません。

添削された答案を、指摘をふまえてもう一度書き直す。この一往復があって初めて、指摘が技術として定着します。指摘を読んで「なるほど」と思うことと、次に自分で書けることのあいだには、大きな隔たりがあります。

国語ゼミの小論文指導では、添削とリライトを1セットとして扱います。3回目には、提出される答案が最初のものと明らかに変わります。

手順5:頻出テーマの背景知識をストックする

小論文には頻出テーマがあります。医療倫理、環境と経済、情報技術と社会、教育格差、地方と都市、多様性——学部系統によって偏りはありますが、まったくの初見という状況は減らせます。

やることは単純で、テーマごとに次の三点をメモしておくことです。

  • そのテーマで対立している二つの立場
  • それぞれの立場の代表的な根拠
  • 議論の前提になっている用語の定義

100字程度で構いません。知識そのものが評価されるわけではありませんが、知識がないと論の運びが浅くなります。「よくない」「大切だ」以上のことが書けない答案は、たいていここが不足しています。

独学が難しい、たったひとつの理由

小論文の参考書は数多くあり、書き方の型を学ぶだけなら独学でも可能です。それでも独学が難しいのは、自分の答案を自分で採点できないからです。

数学なら、答えが合っているかは自分でわかります。小論文はそうはいきません。論理の飛躍は、書いた本人には見えないからです。書いているときは筋が通っているように感じられる——それが飛躍の正体です。

だから、第三者に読んでもらう工程が不可欠になります。しかも、返却までに数週間かかる添削では、書いたときの思考が本人の中から消えています。指摘が記憶に残っているうちに書き直せるかどうかが、伸び方を大きく左右します。

いつから始めればいいか

総合型選抜・学校推薦型選抜を視野に入れているなら、高2の後半には着手したいところです。一般選抜との併願であっても、小論文の訓練は現代文の読解力に跳ね返るため、無駄になりません。

ただし、順序は間違えないでください。読めない段階で書く練習を積んでも、伸びは限定的です。現代文の読解——特に要約——を先に固め、そのうえで論述に進む。この順序が最短です。

志望理由書・面接も、同じ構造です

志望理由書や面接も、小論文と同じく「問いに対して根拠を示しながら答える」訓練の延長にあります。「あなたが本当に何をしたいのか」を言語化する作業は、一人では堂々巡りになりがちです。第三者との対話のなかで整理していくほうが、はるかに早く輪郭が出ます。

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